テレビ局各局が手掛ける旅番組。芸能人が観光地を巡り、地場の飲食店や名所などをめぐる番組形式は、老若男女問わず楽しめ、根強い人気がある。今も旅番組が増えている背景やその制作舞台裏はどうなっているのか。現場を支える制作会社のADはこう語る。
「まず舞台装置などを準備する必要がないので、制作費が安価。基本的にロケ地を訪れる芸能人さえいれば成り立つので、制作費を3分の1ほどに済ませることが出来ます。共に旅をする制作チームも10名前後と少数精鋭。テレビ番組全般の視聴率を支える50代以上でも安心して観られるため、各局が力を入れています」
ADの仕事は各地のリサーチのほか、飲食店など取材先への依頼、アポ取りが中心。スケジュール表とにらめっこし、予算管理をしながら、小道具の手配や弁当の発注などの準備に取り掛かる。
ロケ撮影は早朝からスタートし、日没後21時ぐらいまで続く場合も。バスでの移動がほとんどだが、企画次第では、田舎道をひたすら歩くような過酷な内容にもなる。重用されるのは、スタッフや現地の人にも分け隔てなく接するタレント。ロケの雰囲気も良くなる。
「一番重要なのが、タイムスケジュールの管理。なかでも飲食店を巡るうちに、予定が押したり巻いたりするものなので、ロケ先の店に電話し、スケジュールを調整してもらいます。どうにもならず、取材キャンセルをお願いする時は心が痛みます」(同前)