「1皿100円」のリーズナブルさで老若男女を問わず人気を集める回転寿司は、外食産業の中でも「原価率(価格に占める材料費の割合)」が高い業態として知られている。著書に『回転寿司の経営学』(東洋経済新報社刊)がある評論家・米川伸生氏が指摘する。
「他ジャンルの飲食店の平均原価率は30%以下が当たり前ですが、回転寿司店は生鮮食品を扱うため、原価率は50%程度と高くなる」
近年「サイドメニュー」に力を入れる店舗が増えているのは、「全体の原価率を下げる取り組みの1つ」だと米川氏はいう。
「サイドメニューを出すのは、100円の寿司だけを食べられては儲からないからです。原価の高いネタでは諸経費を加えると1皿5~10円程度しか儲からないが、100円の味噌汁の原価は10円程度のため利益率が高い。
390円のラーメンを食べてもらえれば100円以上の利益が出る。デザートのバリエーションを増やしているのも、子供たちを喜ばせるだけでなく、寿司よりも利益率が高いという理由がある」
アルコールも原価が安く、店側の儲けが大きくなるという。
「生ビール1杯500円程度で提供すれば、お寿司を5皿食べてもらうよりも利益は格段に出ます。チューハイやハイボールはさらに利益率が高い。ただし、回転寿司は、客の回転率を上げることで儲ける仕組みなので、あまり長居されたくないのもホンネ。アルコール類を高すぎず、安すぎない値段に設定するお店が多いようです」(同前)
回転寿司探究家の柳生九兵衛氏は、回転寿司での「賢い注文方法」を教えてくれた。
「“本日のおすすめ”や“◯◯産”などの情報が毎日更新される手書きのメニュー表があれば、常に旬で新鮮なネタを仕入れるこだわりがある店だと言え、良いネタが安く食べられるはずです。また、1皿の価格が100円、120円、150円、200円……のように小刻みに値段設定が分かれていれば、適正な原価率で売っている良心的な店だと言えるでしょう」
原価のカラクリを知れば、“一味違った”楽しみ方ができそうだ。
※週刊ポスト2019年11月29日号