どんなに本人が努力しようにも、結局は自分が生まれた「地域」や「家庭」によって人生は大きく左右されてしまう。そういわれてしまうと身もフタもない残酷な話だが、最新の研究データはそうした傾向を如実に示している。
社会学者などのグループによって行われた最新の大規模社会調査(SSM調査、2015年)によると、地方よりも、都市部に高学歴者が多いことがわかったのだ。
また、教育格差は「親の学歴」や「親の収入」にも左右される。同調査によると、「父親の学歴」と子供の学歴の関連の強さは明白に表れている。大卒の父親の息子は、20代では8割近くが大卒だが、その一方で、非大卒の父親の息子が大学を卒業するのは4割にも満たない。これは娘の場合でも同様の傾向が見られる。
「読書は心の栄養」という言葉があるように、家庭の蔵書数が多ければ、小さい頃からの読書習慣が学歴にも結びつくというデータもある。
20~39才を対象に、「15才の頃に家にあった蔵書数」と「大学進学率」の関係について、『アンダークラス──新たな下層階級の出現』(ちくま新書)の著者で早稲田大学人間科学学術院教授の橋本健二さんが分析している。そのデータによると、家に10冊以下しか本がなかった人の大学進学率は23.1%。対照的に501冊以上あった人は76.4%も進学していた。
「本をたくさん読む親は高学歴で収入も高い傾向にあり、経済力があれば本もたくさん買えます。家に本があれば、子供に読み聞かせたり、本を読む親を見て子供にも読書の習慣がつき、子供の進学率も上がるというわけです」(橋本さん)