月額6万8000円に増える
具体的に見ていこう。
【特典1】パート主婦が60歳から厚生年金に加入するメリット
現在、パート主婦(3号)で国民年金を満額受給(月額6万5000円)できるケースは多くない。
「結婚前に年金未加入期間があったり、結婚後も3号制度(1986年創設)ができる以前に国民年金保険料を納付していなかった妻は、60歳までの年金加入期間が国民年金の満額受給に必要な40年に満たず、35年程度であることがほとんどです」(“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏)
そうなると年金額は月額5万7000円にとどまる。
サラリーマンの夫は60歳以降も雇用延長で働くことで、自分の厚生年金を増やすことができる。しかし、パート主婦は厚生年金への加入制限があり、これまでは月給10万円程度で中小企業(従業員500人以下)に勤務の場合、原則、加入できなかった。
パート主婦が国民年金を満額受給しようと思えば、60歳以降に国民年金保険料(月額1万6410円)を支払って加入期間を40年まで延ばすしかなかったのだ。
しかし今回の改正で厚生年金の加入要件が拡大され、パート主婦層の多くが厚生年金に加入できるようになる。月給10万円のパート主婦が60歳から5年間、新たに厚生年金に加入すれば、受け取る年金額は、国民年金の満額(加入期間40年。6万5000円)より多い月額6万8000円に増える。
【特典2】妻も毎年の年金額アップを狙える
新制度では、65歳以降も在職老齢年金をもらいながら厚生年金に加入して働く場合、毎年、年金額を再計算して年金額を上乗せする「定時改定」制度の導入が検討されている。
この制度は新たに厚生年金に加入できるようになるパート主婦にも適用されると見られ、妻が65歳以降も在職老齢年金をもらいながらパートを続ければ「毎年、年金額を増やす」ことが可能になる。