住まい・不動産

欠陥マンション 3800万円だった最上階の資産価値が50万円に

販売元と施工会社は現在も係争中(大津京ステーションプレイス)

販売元と施工会社は現在も係争中(大津京ステーションプレイス)

 マンション購入は人生の一大選択だが、買い手が予想もしなかったトラブルに見舞われるケースがある。2009年に完成した滋賀県大津市の「大津京ステーションプレイス」(14階建て、全108戸)もその一つだ。新築当初からこのマンションの高層階に住んでいる男性が語る。

「とにかく雨が降ると大変な騒ぎです。火災報知器が誤作動して深夜早朝かまわずサイレンが鳴り響き、おちおち寝てもいられない。漏電の恐れがあるからと、エレベーターも停止してしまうため、階段の昇り降りが大変で……。敷地内の立体駐車場も浸水したため使えず、近所の平置き駐車場を借りています」

 京都駅から最寄り駅までJR新快速で約10分、琵琶湖にほど近い同マンションの付近には、大規模商業施設や大きな公園もあり、通勤・通学だけでなく子育てにも適した人気マンションとなるはずだった。

 だが、新築マンションでの生活に胸を膨らませて入居した早々、通常では考えられない“欠陥”が次々と明らかになっていった。同マンションの施主で売主の不動産会社「大覚」の山下覚史社長が訴える。

「このマンションは当社が事業主となり、南海電鉄グループの南海辰村建設に施工を依頼して分譲しました。しかし、完成してみると設計とは全く違う、問題だらけの工事になっていた。屋上の防水処理が不完全なため、最上階の部屋は雨漏りを起こし、湿気のせいで室内はカビやキノコまで生える始末。とても人が住める状況ではありませんでした」

 マンションの構造そのものにも問題は及んでいた。

「専門家に調査を依頼したところ、基礎部分のコンクリートが一体化していないことが判明。地震に耐えるための杭も地盤の支持層まで届いていないものがあった。大変不安定な状態で、大地震が来たら倒壊の危険もあるというのです」(山下社長)

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