「わが子になんとか“できる子”になってほしい」と考えるのは親の常だが、そんな切なる思いでとった行動が、実は子供にとって“NG行動”に該当するかもしれない。「頭がいい子」の定義は時代とともに変わるのだ。
では、どんな環境だと“出来がいい子”が育つのか。高いセキュリティーレベルを誇り、見渡す限りの眺望が手に入る高級タワーマンションでの暮らしは誰もがうらやむ快適なもの。しかし、こと子育てに関してはふさわしくない面もあるとプロ家庭教師集団「名門指導会」代表で塾ソムリエの西村則康さんは言う。
「仕事柄、いろいろなご家庭にお邪魔しますが、高級タワマンの30階以上の高層階では、なかなか出来のいい子には出会えません。もちろんタワマンに住んでいてもできる子はいますが、ほとんど10階以下の低層階。
やはり虫や植物に触ったり、においをかいだり、自然と戯れることで知的好奇心が育まれる。これらは小学生の成長には欠かせないことだと思うのですが、高層階に住んでいると階下に降りるのが面倒で、あまり外出をしなくなる。当然、好奇心の幅は狭くなります」
高級タワマンといえば、富裕層が住む高嶺の花。父親も会社経営者や医師など社会的地位が高い場合が多い。
「子供はよく見ているもので、父親が外部の人に対し横柄な態度をとっていたりすると、子供もそれにならって同じような態度をとるようになることも少なくありません。成績向上の結果を求めるあまり、父親が子供の勉強計画を5分刻みで表計算ソフトを使って立案する場合まである。特に中学受験は父親がエキサイトして、今問題になっている『教育虐待』に近い状態になりがちです」(西村さん)