平成が幕を閉じ、令和の時代に入った。しかしながら案外と2つ前の時代である「昭和」の風習や慣行はいまだに残り続けている。もちろん、それが良いものならば残り続けることは意味があるが、「それって本当に必要か?」「無駄では……」と思えるようなものも少なくない。そうした「令和に残る昭和の無駄な慣行」についてネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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師走になると、営業マンが大量のカレンダーを紙袋に入れて得意先を回る姿を見るようになります。カレンダー自体は便利なものではありますが、1つの部署にあまりにもたくさんのカレンダーが集まってしまうことがあるんですよね。部署にカレンダーは1つあればいいので、カレンダーをあまりもらわないような部署に持っていこうとしても、彼らは自社のカレンダーをすでに手配済みだったりする。かくしてカレンダー余り現象が毎年のように続くのです。
そして忘年会シーズン、最近は1杯目から「ビール以外の人!」という注文の仕方が定着した感もあり、これは「来てるね、令和」という感じがします。「烏龍茶」と言った場合の「えっ、ソフトドリンク飲むの?(ざわざわ)」といった平成初期の頃の空気感もなくなり、これまた良い流れだと思います。ビールを強制するのではなく、皆が飲みたいものを自由に飲めるようになって良かったです。あと、平成初期は男性がカルーアミルクみたいな甘い酒を飲むと「男のくせにそんな女子供が飲むような酒飲みやがって!」なんてことを言う人もいましたが、今はこの風潮もなくなり良かったです。
しかしながら、いまだに「お酌」が残っているのって何なんですかねぇ。生ビールを注文すると、その店の注ぎ方がヘタクソだと美味しくないことがある。そんなリスクを考えて、私は瓶ビールを頼むことが多いのですが、若者の中にも「お酌命!」みたいな人がいて、とにかく少しでもグラスの中身が少なくなったら補充してくれる。「そんなことしないでもいいですよ」と言うも、先方はこちらが遠慮しているのではないかと捉えるのか、お酌をし続ける。各人が好きなペースで飲めばいいのにな、と思うわけです。
あとは「はんこ」ですよ。竹本直一IT担当大臣は、「はんこ議連」に所属していますが、はんことデジタルの共栄を図ると宣言し、「はんこ大臣」のあだ名もネット上ではついています。実際、私もちょっとした講演などをすると、その謝礼を受け取る時用の「認め印」を持ってくるよう言われることがあります。