予約キャンセルに騒音トラブル、立ち小便まで、同じ行為・トラブルに見えても、警察に「逮捕される人」と「逮捕されない人」がいる。それはなぜか。その境界線は何なのだろうか。騒音トラブルで「傷害罪」に問われた男性のケースを見ていこう。
自宅で映画を楽しむ、庭でバーベキューを楽しむ──そうした何気ない行為に、近隣住民から苦情が寄せられることがある。
今年6月、京都府在住の53歳の男が、「自宅の窓を開けて大音量でハードロックを聴き続け近所に迷惑をかけた」として京都府警に軽犯罪法違反の疑いで逮捕された。周辺住民の通報で駆け付けた警察官が音量を下げるよう何度も注意したが、男は聞き入れなかったという。
こうした行為で逮捕される境界線はどこにあるのか。元検事で弁護士の田中喜代重氏が解説する。
「近所からの苦情でいきなり逮捕・立件ということはありません。騒音や悪臭などについて住民や警察が注意しても聞かない状況が前提になる。さらにそれが原因で近所の住民が体調を崩し、医師の診断書により騒音などとの『因果関係』が証明されれば、傷害罪に発展する可能性もあります」
故意ではなかったとしても、近所の訴えには真摯に向き合ったほうが無難だ。
※週刊ポスト2019年12月13日号