昔は墓や葬式の話をするのは“縁起でもない”といわれたが、今は、元気な高齢者が「終活してます!」と、素敵なライフスタイルとして語る姿をよく見かけるようになった。ひと昔前より確実に長くなった老後の過ごし方を見直す時が来ているかもしれない。
終活をすれば、“今生きることが楽しくなる”という終活カウンセラー協会代表理事の武藤頼胡さんに取材した。
まずは3つの“終活のウオーミングアップ”
武藤さんの終活セミナーに集まる中高年の受講者に、人生100年時代だと告げると、「そんなに生きたくない」という声が大勢を占めるという。
「みんな長生きがリスクだと思っているのです。お金が足りるか、元気でいられるか、家族が嫌な顔をしないか…と、不安や悲観でいっぱい。本来、生きることは喜ばしいこと。リスクをきちんと把握して回避し、生き甲斐のある人生にするのが終活なのです」と言う武藤さん。
今の70才が100才になる2050年には100才以上が50万人を超える見通し(*)。「人生100年」は現実なのだ。
【*厚生労働省「男女別百歳以上高齢者数年次推移」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月推計)」より】
「終活という言葉はある程度知られ、みんな気になって考え始めていますが、実際に行動する人はまだ少ないですね。具体的には●介護・病気の告知や延命治療●財産の相続●葬儀や墓について意思表示や準備、●生前整理(家の片づけ)などをしますが、いずれも日常とは少し距離があり、いきなり取り組むのはハードルが高いかもしれません。