武藤さんも6年前から書いているという。折々に新しいノートに内容を更新。ほかの市販品も含めて現在9冊目だ。
「最近、実父を亡くしたことで、延命や葬儀などの希望が少し変わりました。ノートを新しくするたびに、子供たちへの新たなメッセージを書きますし、振り返るたびに違う思い出がよみがえり、書く内容には事欠きません。年を重ねてから書きためたノートを読み返すのが楽しみです」
また終活をすることで、自分の立ち位置がはっきりすると武藤さんは言う。
「両親に育てられてきたこと、たくさんの人との出会いがあったこと、人生は自分だけのものじゃないと改めて気づく。自分の人生や命が大切に思えてくるのです。
終活をしなくても、亡くなる人の方はさほど困りません。でも多くの人が終活に興味を示すのは“家族に迷惑をかけたくないから”と言います。それは裏を返せば家族への深い感謝や愛情なのです。
そんな気持ちに気づき、大切にして、ゴールで“いい人生だった”と思える生き方を目指すのが終活です」
●武藤頼胡(むとう・よりこ)さん/一般社団法人終活カウンセラー協会(https://www.shukatsu-csl.jp)代表理事。終活の大切さを伝え、普及すべく終活カウンセラー資格を創設。2011年に協会を設立。自らも終活カウンセラーとして活動しながら、全国での講演活動、メディア出演も多数。明海大学ホスピタリティツーリズム学科講師も務める。
※女性セブン2019年12月19日号