今年10月の消費増税が本格的に消費に影響を与え出し、さらにキャッシュレス利用の還元施策も来年の途中からなくなって、いよいよモノやサービスが買われなくなるぞ……、そんな見立てになっているようです。
上記の意見に次いで多かったのが、海外に目を向けたこんな意見。
3)国際情勢の不安・世界経済の減速
「アメリカの景気減速・中国との関税戦争やイギリスのEU離脱等で景気が冷え込む」(男性65歳・香川県)
「保護主義をとる国が増えているので、これまでより関税などの影響を受けやすそう」(女性60歳・福岡県)
……ほか。
アメリカのトランプ大統領が「米中貿易合意は2020年11月の大統領選後になる可能性も」という趣旨の発言をするなど、米中貿易摩擦はなかなか収まる見通しが立ちませんし、イギリスのEU離脱問題も、いつ離脱するのか、離脱後どうなるのかは依然不透明なまま。そんな先の見えなさが、景気に対するシビアな予想につながっているのかもしれません。
2020年にお金をかけたいもの、2位はまさかの…
そんな見通しの悪化を受けてか、「今年お金をかけたもの」と「来年お金をかけたいもの」について質問してみると、こんな結果が出てきました。全25項目の選択肢から選んでもらったうち、トップ10項目をご紹介します。
●来年お金をかけたいもの
(※カッコ内は「今年お金をかけたもの」での順位とスコア)
1位:旅行 27.5%(1位 28.2%)
2位:貯金 25.5%(5位 14.3%)
3位:趣味 17.4%(4位 20.4%)
4位:ふだんの食事 15.6%(2位 26.7%)
5位:外食 13.5%(3位 25.9%)
6位:子どもや孫の勉強・教養 12.6%(6位 13.6%)
7位:旅行以外のレジャー 11.8%(8位 12.7%)
8位:老後の暮らしの準備 11.6%(23位 6.2%)
9位:健康・リラックス 9.8%(15位 9.2%)
10位:株など投資 9.4%(19位 7.3%)
1位になったのは「旅行」。今年お金をかけたものでも1位となっており、旅行に対する意欲の強さがうかがえます。が、気になるのは2位の「貯金」。今年のスコアから大幅に伸ばして2位に食い込んできました。お金をかけたいものと質問して2位に「貯金」がランクインするところに、上述の悲観的な景気見通しがよく現れているように感じます。
また「老後の暮らしの準備(23位→8位)」、「株など投資(19位→10位)」も今年の順位からだいぶ浮上してトップ10入り。これらのことを踏まえると、生活者は2020年を「費やす」より「備える」1年として位置づけようとしているのかなと、そんな見方もできるのかもしれません。
「2020年、景気が悪化する」という生活者の予想が、果たして現実のものとなってしまうのかどうか。この先も注視して追っていきたいところです。
◆レポート/三矢正浩(博報堂生活総合研究所 上席研究員)
参考情報
○「2020年 生活気分」調査概要
調査地域:全国11都市
調査対象:20~69歳の男女
調査人数:3900人(男性1944人 女性1956人)
調査手法:インターネット調査
調査期間:2019年10月3日~10月8日
○博報堂生活総合研究所 「2020年 生活気分」レポートページ
https://seikatsusoken.jp/newsrelease/14613/