消費増税とあわせて10月からスタートした、政府によるポイント還元制度。現金派が多い日本人にとってキャッシュレス決済促進の追い風になるかと思いきや、一度は挑戦してみたものの早くも現金決済に“出戻り”する人たちもいるようだ。
20代の男性会社員・Aさんは、クレジットカードを持っているが、ほとんど使わない現金派だった。だが、iPhone6sからiPhone8に機種変更をしたことをきっかけに、スマホ決済(QRコード決済)を導入した。だが、キャッシュレスで買い物ができる便利さと引き換えにAさんを待っていたのは、浪費だった。
「倹約家とまでは言いませんが、一応、月に食費や交際費はいくらまでと決めていたんです。でも、キャッシュレス決済にしてから、1万円くらい出費が増えた気がします。キャッシュレス決済はとにかく便利でしたが、気軽に買えてしまうのは怖いですね。自販機でジュースを何本も買うなど、小さな出費が日々重なり、ヤバイです」
何にそんなに使ってしまったのか、後からチェックしようにもスマホ決済には落とし穴があったという。
「具体的に何を買ったか、覚えていないんです。クレジットカード明細にはスマホ決済のサービス名だけ表記されているので……なかなか厄介ですね。キャッシュレスは控えて、現金派に戻りました。そういえば以前もムダ遣いするのが怖くて、ソシャゲ(ソーシャルゲーム)の課金決済方式をクレジットカードから、iTunesカードに切り替えたことを思い出しました。僕にはキャッシュレスは向いていないのかもしれません」(Aさん)
明細で苦い思いを感じたのはAさんだけではない。30代自営業の男性・Bさんは、こんなエピソードを明かす。
「これまで、クレジットカード決済は1か月に概ね5万円くらいだったのですが、30万円くらいあったものですから、不正利用を疑い、会社に問い合わせしてしまいました。明細も見たのですが、本当に買ったものか、記憶がなかったんです。ただ、結局は不正利用ではなく、自分が購入したもので恥ずかしくなりました」