地方都市の地域活性化策、最新の潮流は「アニメ」の活用だ。『ガールズ&パンツァー』の舞台である茨城県大洗町では、2012年の放送開始前には年間300万人だった観光客が放送を機に400万人を突破、テレビ放送終了から5年経った2018年も453万人(県内観光客動態調査)を維持している。
『らき☆すた』(2007年放送)の舞台の1つになった鷲宮(わしのみや)神社(埼玉・久喜市)の初詣客(1月1~3日)は放送前の2007年に13万人だったが、放送3年後の2010年には3倍以上となる45万人を超え、その後も47万人台で推移している(2017年5月公表の日本政策投資銀行のレポート)。
だが、こうした「アニメで町おこし」の取り組みも、地元の熱意が空回りした挙げ句、批判を浴びることがある。
地元の農業高校を舞台にしたラブコメディ『のうりん』(2014年放送)のキャラクターを町おこしに採用してきた岐阜県美濃加茂市が“炎上”したのは2015年11月のことだ。
市の飲食店などを巡るスタンプラリーの告知ポスターを地元の観光協会がツイッターに投稿すると、女性キャラクターの大きく開いた襟元と豊満なバストが強調された絵柄に「セクハラ」「不愉快だ」という批判が相次ぎ、ポスターの回収とデザイン変更に追い込まれた。市産業振興課の担当者はこう話す。
「当市はこれといって観光施設がないので、作品とのコラボは手探りで始めたものです。上映会を開いたこともあるのですが、その際にはちょっと過激なシーンがあっても特段の異論は出ませんでした。ご批判をいただいたのは何種類か用意したポスターのうちの1つですし、実際に貼ったのは10枚程度。しかも、貼った際に炎上しただけでなく、剥がす時も『どうして外すのか』とご批判があった。回収以降は、コラボのお話は具体的にはありません」