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「アニメで町おこし」、熱意が空回りして批判や炎上のケースも

 美濃加茂市の例はファン以外からの批判が中心だったと考えられるが、むしろ熱心なファンから批判的な目線を向けられることもあるから、事態はより複雑だ。

 宇宙からの敵と少女たちが操るロボットとの戦いを描いた『輪廻のラグランジェ』(2012年放送)の舞台は千葉県鴨川市。各話のタイトルに必ず「鴨川」が入るほか、作品中に地元産品である鯛やアジを用いた名物丼を登場させるなどしていたが、この作風がかえって“地域おこし狙いの仕掛けではないか”とアニメファンに勘繰られた。「あざとすぎる」などという批判がネットの掲示板を中心に展開されたのだ。観光学が専門の近畿大准教授・岡本健氏がいう。

「アニメの舞台を聖地と見るファンは、あからさまな仕掛けを嫌う。ただ矛盾するようですが、利益が出なければ“推し”の作品は続編もできず、楽しみが終わってしまうことも理解している。したがって『気持ちよくお金を払いたい』という複雑な心理がある。そこに寄り添っていないと、思いも寄らぬところから炎上することがあるのです」

グッズ売り切れにお叱りが…

 微妙なファン心理と向き合う試行錯誤も涙ぐましい。

 今年8月、東京・秋葉原で開かれた全国の映画やドラマのロケ地から「行きたいまちナンバーワン」を決める「全国ふるさと甲子園」で、グランプリを獲得したのは佐賀県唐津市だ。ゾンビになった少女7人がアイドルユニットを結成し、成長していくアニメ『ゾンビランドサガ』(2018年放送)の舞台である。

 ニコニコ動画が主催する「ネットユーザーが本気で選ぶ!アニメ総選挙18年間大賞」で1位になるなど好評を博した作品で、地元のテレビ番組で山口祥義知事が登場人物の1人のコスプレで登場するといった演出も奏功している。

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