任天堂と中国での正規販売代理店契約を結んでいる中国IT大手・テンセントは、12月4日、ニンテンドースイッチを10日から中国で販売すると発表した。マリオ関連の3ソフトも同時に発売される予定だ。
任天堂にとって、スイッチの中国販売はどういう意味を持つのだろうか? 同社の古川俊太郎社長は11月1日の決算説明会において、「2020年3月期中に発売できたとしても、業績に大きな影響を与える規模にはならない」と述べている。
スイッチや関連ソフトは任天堂の収益の柱となる製品であり、その売上規模は大きい。
中国国内には日本のアニメやゲームに興味を持つ若者は多く、中には熱狂的なファンもいる。しかし、そうしたファンは大方、国内の越境ECを通して日本版、香港版を購入している。今回の販売価格は2099元(約3万2000円、1元=15.4円で換算)だが、それらの実勢価格は100元程度高いだけである。
ソフトについては今のところ品揃えが少なく、中国国内販売開始が強烈なインパクトを与えるとまでは言えない。当面は、ある程度ゲームの好きな若者層や、子供のいるファミリー層を主要ターゲットとするのであろうが、そうだとすると、急拡大は難しい。
とはいえ、長期的な視点から見れば、これは任天堂の収益を大きく拡大するチャンスでもあるだろう。中国は世界最大のゲーム市場を持ち、今後急拡大する可能性の高い「eゲーム」に関しても先進国である。