この金額を合計すると、しめて2167万4800円の「死亡保障」を受け取ることになる。万一不幸にも「早死に」したら、これまで支払った保険料がムダどころか何倍にもなって返ってくるのである。
ちなみに、国民年金に加入せずに掛け捨ての生命保険で2100万円の保障を男性が60歳になるまで続けると、保険料は月額7056円(外資系保険会社の定期保険で試算)となる。「なんだ、こちらのほうが安いじゃないか」と思うのは早計だ。この保険商品で2000万円の保険金が支払われるのは60歳までに死亡した場合だけで、無事であれば1円も戻ってこない。これに対し、国民年金なら65歳を迎えれば死ぬまで年金を受け取り続けることができる。しかも、万一体に障害を負ったり大きな病気をした場合には「障害基礎年金」を受け取ることができるのだ。
もしこの男性が障害等級1級とされる状態になった場合、第1子が18歳になる年度末までは年額142万4100円(同)、第2子が18歳になるまでは119万9600円と、遺族年金を上回る額を受給できる。しかも、障害基礎年金は子どもが18歳を過ぎても97万5125円(同)が支払われる。
障害年金の「障害」の幅は意外と広く、失明や車椅子の生活になった場合はもちろん、がんや心疾患などで長期の安静を要する場合や、ペースメーカーの装着、人工透析をしている場合などでも対象になることがある。
要するに、国民年金は長生きした場合はもちろん、子どもを残して早くに死亡した場合や、体に障害が残ったり大きな病気をした場合でも、保障してもらえるのである。妻子のために同じ保障を自分でつくるとなると、民間の生命保険と年金保険、がん保険や傷害保険などに加入しなければならず、こちらのほうがよほど高コストとなるのは明白だ。国民年金は、実はかなりおトクなのである。