19日の米国市場は、週間新規失業保険申請件数が前週から大きく減少し、ハイテク株を中心に買いが先行してNYダウは137.68ドル高と反発した。この流れを受けて20日の日経平均は前日比28.60円高と堅調なスタートだったものの、その後は積極的な買いが見送られる中、利益確定売りに押されて3日続落となった。前場中ごろには一時23746.63円(前日比118.22円安)まで下落したが、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ期待もあって、再度プラス圏に浮上する場面もあった。日経平均は前日比48.22円安の23816.63円で大引けた。
今週の日経平均は引き続き膠着感の強いもみ合いの展開となりそうだ。米下院によるトランプ大統領の弾劾訴追決議案の可決については、年明けに予定される裁判は共和党が多数を占める上院を通過する可能性は極めて低いとの見方が大勢となっている。相場への影響も限定的となっている。
また、米中貿易協議は第1弾の合意に達したものの、署名はまだされていないため、両国の通商協議を巡る動きに警戒感がくすぶっていることも確かだ。弾劾問題、米中貿易協議ともに、クリスマス前の「休戦状態」となっており、積極的な買いを呼び込めない状況にある。むしろ、海外投資家によるクリスマス休暇前の手じまい売りが出ている可能性がある。
国内の需給環境としても、今年の6月から始まった裁定売り残が裁定買い残を上回る現象が、株数ベースでは16日時点で解消された。空売り比率も今年最低水準が12月第2週の後半から続いているので、買戻しのエネルギーも縮小方向にある。ただ、裁定残はいずれも低水準なので、買う余地は大きいとも言える状況だ。
一方、NYダウやナスダック指数など米国市場の上昇は安心感につながるなか、為替相場も比較的落ち着いた展開となっており、東京市場は下値を叩いてくる売りが広がる展開にはない。日経平均24000円突破を意識した材料はなく、下を売り込む流れもない状況だ。しかし、年末を控えたポジション調整の動きに限られたインデックスに絡んだ商いも、クリスマス明け後にアクションが生じる可能性があり、12月の権利付き最終商いとなる26日を含めて週後半は動きが出てきそうだ。
物色的には市場エルネルギーが後退しているなか、大型株は手掛けにくさが先行しそうだが、市場予想を上回った米半導体大手のマイクロン・テクノロジーの決算を好感して20日は半導体関連株が逆行高に買われた。2020年は新型機投入などゲーム機の買い替えサイクルや次世代通信規格「5G」投資の本格化などが追い風として働き、半導体市況には改善期待がある。また、今週は引き続き5銘柄のIPOが予定されていることから、直近IPO周辺株が動ける資金を引きつけることが予想される。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、24日に日銀金融政策決定会合議事要旨(10月30日・31日開催分)、25日に11月企業向けサービス価格指数、26日に黒田日銀総裁が経団連審議員会で講演、年内受け渡し最終売買日、27日に11月失業率・有効求人倍率、12月都区部消費者物価指数、11月商業動態統計、12月18・19日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、11月鉱工業生産が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、23日に米11月シカゴ連銀全米活動指数、米11月新築住宅販売件数、米11月耐久財受注、25日はクリスマスで米・英など休場、26日はボクシング・デーで英国・香港休場が予定されている。