「車が趣味」という男性は少なくないが、こだわりが強すぎるとハラスメントになりうるケースがある。投資銀行に勤める40代男性は、子供が産まれて「チャイルドシートをつけよう」という妻に、装着を拒否し続けていたという。いったいどうしてなのか。ライターの高木希美氏が、その実例をリポートする。
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「土足禁止」という程度の車好き男性なら、数多くいます。でも、ここまでいくと「車ハラスメント」と言えるのではないでしょうか。
カズマサさん(仮名)は43歳。キムタク世代を感じさせるサーファー系を引きずった見た目ですが、慶應卒、投資銀行勤務で年収3000万円を軽く越えるいわゆる“ハイスペック。妻・ユキエさん(仮名)は10歳下の33歳で、綾瀬はるかに似た雰囲気の清楚系です。
「夫はとにかく車が好きで、結婚する前からポルシェ、アウディのR8、BMWのMシリーズが2台と一通りスポーツカーを乗り換えてきました。夜中も突然ドライブしに出かけたり、休日は車を改造したり、雨の日は車の動画を見たり……。試乗にもしょっちゅう付き合わされます。でも、私は昔から乗り物酔いするから車が苦手で」(ユキエさん。以下同)
付き合っているときも、「無理してでも外車の新車を買ってる男と、型落ちの車に乗ってる男と、新車でも普通の国産車乗ってる男、どれがいい」などと聞かれたという。
「そもそも、車を通して男性を見たことがないから『考えたことないけど、乗りたい車に乗ってれば良いと思う』って答えたんです。そのとき彼は、『生半可な知識で“ポルシェがいい”とかワガママいう女いるけど、ユキエがそうじゃなくて嬉しいよ』って、なぜか満足そうにしていました」
結婚して子供が産まれるまでは、“ちょっと車マニアなのかな”というくらいに考えていたというユキエさん。彼の収入は十分にあったことから、車にお金をかけたからといって生活に困るようなこともありませんでした。