●荻原博子氏(経済ジャーナリスト・反対派)
私は70歳定年制に反対です。国が企業に70歳までの就業機会を確保するよう求めているのは、年金支給開始年齢を引き上げたいから。すべては「お上の都合」なんです。
一般的に、会社員の給料は50歳がピークでその先は下がる一方。雇用延長後は給料の規定もないから、手取りが半分以下になってしまうこともある。給料が減った時の雇用保険からの給付も雀の涙です。
職場では若い社員に「扱いにくい存在」と見られ、自分も周囲に気を使わなければならない。居心地が悪くなることは想像に難くありません。
60歳を過ぎてからの転職・再就職はハードルが高い、という声もありますが、それならば、余力のある50代のうちに第二の人生に踏み出す選択肢もある。一生、同じ会社にしがみつくのは賢明ではありません。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号