合併によって企業が内に抱えていたプライドが表面化するケースも多い。
「日本航空とJASの合併(2006年)では、日航のプライドの高さが軋轢になり、企業風土の違いを埋められませんでした。合併後には、『同じユニフォームのCAでも後ろ姿を見れば一目瞭然。日航のほうが、立ち居振る舞いが優れている』と言い放っていた日航の幹部がいたほどです」(関氏)
人事採用でも企業風土の違いが露呈する。大丸と松坂屋の経営統合で2007年に設立された「J.フロント リテイリング」の関係者が指摘する。
「両社の社員の間で合併後の採用について議論がありました。出身大学を重視する松坂屋流の採用に大丸の幹部が『それではよい人材が集まらない』と反発したことがあったと語り継がれている。そこで、大学名にこだわらず、ファッション好きや販売への熱意を重んじる大丸流が採用基準となった」
※週刊ポスト2020年1月17・24日号