2019年9月、ヤフーがファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの買収を発表し、世間を驚かせた。さらに11月にはヤフー(親会社・Zホールディングス)とLINEが経営統合を発表。他にも、ヤマダ電機が大塚家具を買収するなど、有名企業の“大型結婚”が相次いだ。
今後、令和時代の企業合併はどうなっていくのだろうか。ジャーナリストの溝上憲文氏は、平成の「選択と集中」に代わって、これからは「成長ビジネス獲得型」の合併が増えていくと予測する。
「現在はビジネスのスピードが非常に速く、一から事業を立ち上げるよりも、吸収合併やM&Aをしたほうが効率的です。
ヤフーが企業としての実績があるZOZOやLINEを傘下に収めたのも『成長ビジネス獲得型』の戦略と言えます。これまでのように、同業種での『対等合併』は減り、業界にかかわらず大企業が成長企業を飲み込む『吸収合併』が増えていくでしょう」
『経済界』編集局長の関慎夫氏は「合併を成長につなげる経営者」のモデルを、ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏と、楽天の代表取締役会長兼社長・三木谷浩史氏に見るという。
「孫氏は合併による成長戦略を平成の間ずっと続け、三木谷氏は将来の成長図を先に描き、それに足りないパーツを買い集めました。両者とも非常に戦略的に合併・買収を企業経営に取り入れる“攻めの合併”を展開し、そのスピード感は他の経営者を圧倒します。ただし両者とも、海外企業の経営に関与して成功させた経験がないことが今後の課題です」