みなでワイワイと楽しむ飲み会だが、そこに集う客たちは、無意識のうちに様々な気遣いをしていることが多い。ただ、なかには不要な気遣いもあるのではないか。日々居酒屋に通っているネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、「その気遣いはやめてもいいのでは」という居酒屋マナーについて考察した。
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代表的なものは「何も言わずに唐揚げにレモンをかける」というものがありますよね。これは本当にやめた方がいい。レモンが好きな人もいれば嫌いな人がいる、というのもありますし、レモンをかける人にしても欲しい量というのは人それぞれだからです。あとは、全部の唐揚げにレモンをかけてしまうと、せっかくカリカリに揚げてくれた唐揚げがしばらくするとねちょっとしてしまうんですよ。
たとえば3人のグループで5個の唐揚げが出た場合、まずは一人1個、唐揚げを食べます。すると残りは2個になりますが、「私が食べていいのか……」みたいに全員が考え、結局この2個はしばらく放置されることとなります。すでにレモンという液体がかけられているため、カリカリの唐揚げの表面に水分がつき、唐揚げの醍醐味ともいえる「最初はカリッ」が失われてしまうのです。いきなりレモンを全部にかけるのはやめた方がいい、というのが私の考えです。
続いては、「1個残し」です。上記唐揚げにも関係してきますが、その皿の食べ物が残り1個になった時、遠慮して誰も食べないことってありますよね。テーブルの上には1個だけ残った皿が4つあったりする。全員が「最後のコレを食べたい人がいるかもしれないよね」と思い気を遣っているのです。
しかし、これがあるせいでスペースの問題で追加注文ができなくなりますし、店員だってさっさと空いた皿は片づけたいもの。学生だったらまだしも、それなりの大人になったら居酒屋でガツガツと食べることも少なくなってくるでしょう。だからこそ、1つだけ残っていた場合、それを食べたいと思う人がサッと取ってしまえばいいんです。その場にいる誰一人として「お前、最後の1個を取りやがったな!」なんて思うことはないはずです。