1皿100円の回転寿司、全品200円台での均一価格居酒屋、1000円台の飲み放題プラン……大手外食チェーンの価格設定を見て、「これで儲けが出るのだろうか?」と不思議に感じることは少なくない。
もちろん、損を出してまで商品を売る店などない。飲食店経営に詳しい調達・購買業務コンサルタントの坂口孝則氏は、「商売ですから店も利益を出せるように工夫して考えています」と説明する。どんな格安チェーンにも、“儲けのカラクリ”が必ずあるのだ。
では、メニューの価格はどのようにして決まるのか。
「飲食店の原価率(価格に占める食材費の割合)は30%が目安とされています。他に人件費が30%、家賃や設備費などの経費が30%かかり、残り10%が店の利益となるのが一般的です」(同前)
ただし、メニューのすべてが一律に「原価率30%」というわけではない。「ライバル店に負けないように、仕入れ値の高い生ビールがあえて安く設定されたり、“安くてうまい”と評判になるように目玉商品を利益度外視で提供する戦略がある」(大手居酒屋チェーン関係者)のだ。
つまり、大手飲食チェーンほど、原価率の高いメニューと低いメニューの両方をバランスよく注文してもらえるように考えられている。結果として、全体の原価率が30%前後になるよう工夫する手法は“粗利ミックス”と呼ばれる。
「その典型例といえるのが回転寿司です。鮮魚の赤身、白身、ボイルした加工品、巻物やマヨネーズを使ったネタなど、とくにファミリー層は幅広いネタを注文する。そのなかに原価率の高いネタと低いネタがうまく組み合わさっていて、客単価1000円以上なら利益がしっかり出る。
客側は原価率の高いネタを食べて満足度が高くなり、店側は原価率の低いネタも注文してもらうことで、儲けが出しやすい」(前出・坂口氏)