お得に感じられるメニューで客を集め、ついつい一緒に頼んでしまう商品で利益を確保する――こうした粗利ミックスの手法は、他の多くの業態でも見られる。
焼き鳥や串カツを売りにする居酒屋は「肉よりも野菜、ドリンク」で儲けを確保し、焼肉店は「牛肉よりもキムチ」の利益率が高い。牛丼チェーンの味噌汁、そば・うどんやカレーのチェーン店におけるトッピング、ファミレスのドリンクバーなどにも同様の構図がある。
一見、客にとって割安感のある“セットメニュー”も、そうした店側の戦略を知ったうえで眺めると、違った見え方になる。「単品」での注文は店側にとって利益が少ないが、そこに原価率の低い「ドリンク」「サイドメニュー」を組み合わせることで、結果として店側の利益が大きくなる仕組みがあるのだ。
もちろん、食べ物の好き嫌いは人によって異なるので、「原価率の高いメニューばかり頼む」のが満足度の高い食事になるとは限らない。ただ、それぞれのメニューの原価水準、全体の傾向を知っておけば、満足度が高く、かつ割安でお得になる頼み方を考えることができる。
※週刊ポスト2020年1月31日号