かつてはサラリーマンの必需品とされたスーツ。しかし、オフィスカジュアルの普及もあり、様々な業界で「脱スーツ」の流れは着実に進んでいる。一方で、スーツに仕事上のメリットを感じる人や、カジュアルな装いでも許される職場ながら、好んでスーツを着る人もいる。
広告代理店のクリエイティブ職に就く30代の男性・Aさんは、以前は職場だけでなく、客先でも自由な服装をしていた。しかし最近、スーツを着ることによるメリットが大きいと考えるようになったという。
「スーツを着用するのは、提案時に説得力が出やすいからです。私の顧客は大企業が多く、単純にスーツ姿だと『ちゃんとしている人』だと思われやすい。打ち合わせやプレゼンの時、スーツ姿にした結果、明らかに好印象を持ってもらっている実感があります」(Aさん)
ただしAさんは、「本音ではスーツを着ることが好きではない」と明かす。
「スーツは肩も凝るし、蒸れるし、着るのにも一手間かかるし、1着あたりの値段も高い。脱ぎたくなる時も多いです。でも、カジュアル化がすすんでいるからこそ、自身の差別化もしやすいし、着用していることでの価値が上がる」(Aさん)
IT企業に勤務する20代の男性・Bさんの同僚たちは、皆TシャツやカジュアルなYシャツにラフなジャケット、パンツといった典型的なビジネスカジュアルだ。だがBさんは、入社以来1日も絶やさずに、スーツでの勤務を続けている。
「スーツを着ることによって、決して『損する』ことはありません。世の中のトレンドが変わろうとも、スーツがビジネスシーンの“正装”であることは変わらない。スーツでないことがマナー的にNGになることがあっても、着ていることがマイナスになることはない。世間一般の常識に沿って考えるなら、選ばない理由はないと思います」(Bさん)