感染拡大を続ける新型コロナウイルス(新型肺炎)の問題は、金融市場にも大きな影を落としている。この話題が大きく報じられるようになって以降、日経平均株価も2週連続安を記録。2月3日には、春節の大型連休明けの上海総合指数が大きく下落し、日経平均株価も233円安の2万2971円で取引を終えている。事態に終息の兆しが見えないなか、今後の日本株の値動きにどのような影響を与えることが予想されるのか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の事例をもとに、今後の市場への影響を分析する。
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マーケットは新型コロナウイルスの話題でもちきりです。今回の騒動がマーケットにどのような影響を与えるかを考えるうえで、2002年のSARS流行が参考になるのではないでしょうか。SARSが発生したのは2002年11月で、場所は中国の広東省南部でした。事態が収束したのは2003年7月5日にWTO(世界保健機関)が終息宣言をしたときで、それまで約8か月の期間を要しています。
SARS発生から2か月あまりは株価への影響は軽微でしたが、徐々に死亡者数が増加し、報道も熱を帯び始めるようになると、次第に株価が反応。SARS発生から5か月経った2003年4月の日経平均は、SARS発生前に比べ10%程度下落していました。ところがその後は意外にも反転し始めます。
株価に関していえば、SARSの脅威は地政学リスクと似ている面があると思います。それは、今年の年初にアメリカとイランの軍事衝突懸念が生じた時のように、瞬間的には相場へ影響を及ぼすものの、中長期的な下落トレンドに転換させるようなケースはあまり見られない、ということです。
また、SARS騒動後に日経平均が反転し始めたときは、SARSに関するニュースや報道がピークを迎えたときだったように記憶しています。投資家心理が最も冷え込んでいたであろうときに、株価が上昇の兆しを見せ始めたというわけです。
投資の世界には「人の行く裏に道あり花の山」という格言がありますが、皆が悲観的になっているときが大底になる、というケースはままあります。マーケットは、そのときの心理だけでなく、未来への期待を織り込むものだということは、頭に置いておきたいところです。
現段階で今後の中期的なマーケットの値動きを予想するなら、たとえ新型コロナウイルスの問題があっても、秋の米大統領選挙までは日本株も米国株ともに大きく崩れることなく、底堅く推移すると考えています。もちろん、目先の日経平均は軟調に推移するかもしれませんが、SARSの事例を踏まえると下値をつける時期は3月頃と予想することもできます。実際に取引をするかはその時にチャート分析を行い判断するのがよいでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)