創刊号の表紙には、当時流行のアイビールックに身を包みオープンカーに乗った若者の姿が描かれた。アイビールックとは、米東部の学生ファッションをヒントに、アパレルブランド「VAN」の創業者・石津謙介氏が提唱したスタイル。三つボタンのエンブレム付きブレザーにコットンパンツやボタンダウンシャツを合わせるのが定番だ。
「五輪開会式で日本選手団が着ていたブレザーは、胸にワッペンが付いたアイビールック的なものでした。若者たちの流行スタイルを取り入れたのかもしれないし、選手団のブレザーの影響でさらにアイビールックが流行ったとも言えるのではないでしょうか」(泉氏)
アイビールックが“五輪公認”の恩恵に浴したのとは対照的に、同年に出現した「みゆき族」は“五輪で消滅”という憂き目にあった。
「東京・銀座のお洒落なファッション街であるみゆき通りに集まった若者たちを『みゆき族』と呼びました。1964年5月頃に出現して夏場にピークを迎えましたが、ラッパズボンなど奇抜なファッションが五輪を前に警察の風紀取り締まりの対象となり、9月頃の一斉取り締まりを経て五輪前には銀座から姿を消してしまいました」(泉氏)
※週刊ポスト2020年2月21日号