ホストクラブやキャバクラは、客に楽しく酒を飲んでもらう場所。キャストが積極的に酒を飲んで場を盛り上げることもあるだろう。ただ、それが続けば身体を壊しかねないが、接客で飲酒漬けのホスト業務には労災が適用されるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
ホストをしています。当然、仕事柄大量飲酒の日々。結果、体調を崩し、病院で診てもらったところ、肝硬変一歩手前の状態だったようです。こういう場合、私のようなホストでも労災みたいなものが適用され、何かしらの補償がされるのでしょうか。それともやはり、自業自得と見なされてしまいますか。
【回答】
労災保険は、労働者について「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」(業務災害)が起きた場合に給付されます。ホストの業務が店に出勤し、勤務時間や勤務場所等についてクラブの指示に従い、その支配下で接客業務を行ない、報酬を貰うものであるとすれば、ホストは問題なく労働者でしょう。
業務災害である「業務上の疾病」について、労働基準法施行規則で個別に列挙されている業務上の疾病の中に、アルコール多量摂取による肝硬変に該当するものはありませんが「その他業務に起因することの明らかな疾病」は業務上の疾病になるので、あなたの場合もこれに該当するかが問題です。
過度の飲酒が原因で肝硬変が発症するのは素人判断ですが、明白なことだと思います。しかし、疾病が業務に起因したと認められるためには(1)労働の場に有害因子があること。(2)健康障害を起こしえるほど有害因子に暴露したこと。(3)暴露したことで、発症したことが必要――とされています。