FX(外国為替証拠金取引)トレーダーの中には、日本在住ながら海外のFX会社を利用する人もいるようだが、国内のFX会社とはどのような違いがあるのだろうか。FXのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、国内のFX会社と海外のFX会社との違いについて解説する。
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日本の金融庁に金融商品取引業者として登録されている「国内のFX会社」と、本邦金融庁には非登録ですが、国外で金融商品の取扱い認可を受けている「海外のFX会社」の違いはどこにあるのでしょうか。
まず海外のFX会社では、レバレッジを大きくかけることができます。国内業者では個人投資家はレバレッジを最大25倍までかけられますが、海外のFX会社では100倍以上ものレバレッジで取引できるところもあります。
レバレッジを大きくかけるということは、元手(証拠金額)の何十倍・何百倍もの資金規模で取引することになるため、些細な価格変動でも、強制ロスカットに見舞われる危険性は高くなります。国内でも金融庁によるレバレッジ規制が実施される前は、ハイレバレッジで取引するトレーダーも少なくありませんでしたが、当時はリスクを顧みない無謀なトレードも散見されました。そうした取引で単純に勝てるほど甘い世界ではありません。私は日本のFX会社を使っていますが、レバレッジを上限まで利用することはありません。
また、利益に対する課税も異なります。国内の証券会社・FX会社におけるFX取引では、利益に対する税金は申告分離課税となり、復興所得税を含めた20.315%の税金を支払います。そして個人投資家のFXの損失は最大3年まで繰越し控除できます。一方で日本に居住しながら、海外のFX会社を利用した場合の利益は、雑所得としての扱いとなり、総合課税(各種の所得を合算して税金を算出)の対象となります。総合課税の雑所得は最大55%の所得税を課せられる可能性があります。
「スプレッド」(売値と買値の差のことで、取引におけるコストとなる)に関しても、日本のFX会社のドル円スプレッドは、低いところでは0.2銭程度ですが、海外FXでは1銭を超えている業者も散見されます。
その他にも入出金の手続き方法など、取引環境に関わらず日本のFX会社とは異なる面が多々あるので、利用には十分な注意が必要でしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)