サイバー犯罪に詳しい弁護士の板倉陽一郎さんは、「新たな差別につながりかねない」と警鐘を鳴らす。
「いまは個人情報がどんどん流される時代ですが、名前や住所が漏れただけでは大きな被害は出ません。それよりも購買履歴などから本人の『属性』が勝手に分析されることで、差別されて不利益をこうむるリスクの方が大きい」
つまり、「こんな時間にひとりでファミレスでご飯を食べているから、家庭不和だ」とか「こんな参考書を買っているから成績が悪い」など行動と性格がひも付けされてこっそり分析されれば、いまより窮屈な社会になりかねない。2019年8月、就職情報サイト「リクナビ」は、就活生から得たデータから本人の充分な同意なしに内定辞退率を割り出し、企業38社に有料で提供していた。
「こうしたデータが本人の知らないところで勝手に利用されれば、気がつかないまま社会生活上で不利益をこうむるかもしれない。そうした事態は絶対に避ける必要があります。しかしいまはそれをはっきり規制する法律がないのが現状です」(板倉さん)
※女性セブン2020年3月5日号