10年ごとに1割ずつカットされる
1月24日、厚労省は2020年度の公的年金の支給額を前年度比0.2%引き上げると発表した。しかし、物価は前年度より0.5%上がっている。つまり、「実質0.3%のマイナス」だ。
これは「マクロ経済スライド」という小難しい仕組みなのだが、簡単に言えば“年金自動カットシステム”である。実は、安倍政権になってからの7年間で年金は「実質マイナス6.4%」となっているのだ。
「今後10年間で、年金は1割ほどカットされるでしょう。この“自動カット”の仕組みは、この先、30年ほど続く見込みです」(北村さん、以下「」内同)
知れば知るほど、「どうせ減らされるなら、前倒しでもらっておこう」と思わされる年金制度。しかも、再来年4月から、繰り上げ受給がさらに得するように、制度が変更される予定だ。
「働きながら年金を受け取る『在職老齢年金制度』が見直されます。これまでは、年金+仕事の賃金が『月28万円』を超えると、超えた分の半額がカットされてきました。だから、前倒しで受け取ろうとしても、60~64才で仕事をしている人はやりにくかったんです。
しかし、2022年4月から、その上限額が『月47万円』まで引き上げられる見込みです。繰り上げ受給を選んでも、ほとんどの人が年金+賃金が47万円を超えないので、ますます前倒しが有利になります」