乗り物での移動中、リクライニングに気を遣い、倒す前に後ろの座席の人に一声かけたり、会釈したりする日本人は少なくない。一方でわざわざ「座席を倒していいですか?」と問われることを面倒に感じる人もいる。とりわけ訪日外国人には不思議に映る行為らしく、リクライニングマナーをめぐり、ちょっとした認識の食い違いがあるようだ。座席を倒す際の声かけは、必要なのだろうか。
40代男性会社員・Aさんは、出張で新幹線や飛行機に乗る機会が多いが、前の座席に外国人が座っていた場合、声をかけられた経験は一度もないと言う。
「日本人からは大体『倒していいですか?』と聞かれますが、外国人からは一度もそのようなことはありません。不快というほどではないですが、私としてはマナーだと思っているので、少し違和感が残るというか……」(Aさん)
ほとんどの場合、“文化の違い”だと思い、そこまで気にしなかったというAさんだが、なかには我慢できないこともあったと明かす。
「新幹線でのこと。外国人の団体客がうるさいうえに、こちらがテーブルを使用しているのに、それを確認もせずに勢いよく最大まで席を倒してきました。その豪快さにもはや怒るというより、呆れてしまいました」(Aさん)
当のAさん自身は、「基本的にリクライニングを利用することはほとんどない」と言う。「他人に迷惑をかけたくないし、トラブルを誘発するようなことをできるだけ避けたい」と他者への配慮を口にした。