では、座席を倒すときに声をかける側の人はどう考えているのか。30代の女性会社員・Bさんは普段から度々声かけを実践してきた。後ろが外国人のときも同様だという。
「もともと、後ろの人に一言声をかけていました。子どものときに親からそう教えられましたし、大人になったときに、いきなり倒されると自分で不快に思うことがあったので、やっぱり他の人も不快なのかなと思うからです。外国人が後ろのときも英語で言います。キョトンとした顔をされたこともありますが、笑顔で『OK!』と言われることも」(Bさん)
そんなBさんは、子どもが生まれてからは必ず声かけをするようになったと話す。
「子どもがはしゃいだりして迷惑をかけることもあるので、以前より余計に気を遣うようになりました。座席を倒すときに一言断りを入れるために少し後ろを見ることで、相手がどんな人かわかるのも良いように思います。また、前の席に子供がいることを知っているのと知らないのとでは、何かあった時の受け止め方もだいぶ違うのではないでしょうか」(Bさん)
一方で、「無言で座席を倒す」というのは、30代の男性会社員・Cさんだ。ただ、時々、面倒くさいこともあると話す。
「日本人であっても声かけをしない人もいる。僕も無駄な配慮だと思って声かけをしないでいたら、高齢の方から、何回か『勝手に倒すな』とお叱りを受けてしまって……。難しいですね」
外国人はこの日本のマナーについて、どう思っているのだろうか。日本に留学経験がある30代の中国人男性・Dさんは明かす。
「私自身、日本人から座席を倒す前に声をかけられたことはよくあり、日本人は丁寧だなと感心しました。中国人は基本的にはそういった“配慮”はしません。料金をしっかり払っていますし、自分にとっての快適な空間が大切です」