日本人の2人に1人がかかるといわれ、死因としては最も多い「がん」。その治療には多額の費用がかかることもあるからこそ、“もしも”に備えて「がん保険」に加入している人は少なくない。だが、いざという時に、その備えが全く役に立たないことがある。なぜか。体験者たちの悲痛な声から読み解いていく。
医療保険の相談件数は年間1000件
がん保険を含めた医療保険の契約件数は3677万件にのぼり、生命保険文化センター(18年)によると、がん保険や、がん特約の加入率は全世帯の6割を超える。
だが、実際にはがん保険に入っていたのに給付金などが支払われず、コツコツ支払ってきた保険料がムダになる場合も珍しくない。
国民生活センターによるとがん保険を含む医療保険の相談件数は例年1000件近くにものぼる。そこには一体、どんな「落とし穴」があるのか。具体的に見ていく。
「適用されないタイプのがん」がある
都内在住の68歳男性、Aさんのケース。がんと診断されると一時金200万円、入院日額1万円が給付されるがん保険に20年以上前に加入。毎月の保険料は1万円弱と高額だが、万が一に備えて、定年後も加入し続け、支払ってきた保険料の総額は240万円近くになる。
昨年、Aさんは「大腸がん」と診断された。医師には「早期なので、手術で取り除くことができれば心配ありません」と言われ、妻とは「がん保険に入っているから治療費の心配もいらないね」と話していた。