田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国で「生産活動が半分停止」状態、景気回復への道は?

 2月29日に国家統計局が示した見込みは、3月末時点での大中企業の再開率は90.8%、大中製造業は94.7%である。疫病対策として、減税・免税政策、政府手続きなどの費用引下げ、金融サービス、就業に関するサポート、特に中小零細企業を対象とした総合的な支援策が効果を表すだろうと説明している。本土証券系のエコノミストからは、こうした当局の見通しを踏まえ、3月のPMIは50を超えるのではないかという予想も出ている。

 いくら当局が企業の再開率を引き上げるといっても、感染拡大が収まらない限り、実現は難しい。3月2日24時現在の感染状況をみると、中国本土では前日と比べ感染患者は125人増加したが、この内、湖北省全体で114人(武漢が111人)、といった状況である。湖北省以外での感染者の増加はここ数日、横ばい圏で推移している。この状態を維持できるのであれば、3月以降の生産は見込み通り回復する可能性はある。

 日本でも全国規模での一斉休校が始まっているが、中国では1月下旬以来、学校はずっと休みのままである。現在でも、武漢市を中心とした湖北省の周辺都市は都市封鎖状態にあり、全国的な人の移動制限、マスク着用、アルコール消毒の強制など、強い封じ込め政策が続いている。企業に対する生産活動の抑制も含め、ここまでやらなければ封じ込めは難しいということなのだろう。

 中国の対応策は際立って異例だが、日本でも、アメリカでも、最近の慌て様には驚きを禁じ得ない。ことさら危険をあおりたくはないのだが、“何か知らされていないことがあるかもしれない”ぐらいのことは頭に入れて、しっかりと予防したいものだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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