投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月2日~3月6日の動きを振り返りつつ、3月9日~3月13日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は4週連続の下落となった。2月28日のNYダウは一時1000ドル超下落したものの、パウエルFRB(連邦準備理事会)議長の声明を受けて、大引けでは357.28ドル安と下げ幅を縮めて大引けた。週初2日の日経平均も「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とした日銀総裁の談話をきっかけに、朝安からプラスに転じた。ただ、北朝鮮による飛翔体発射が伝わり、後場は伸び悩んだ。
主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が新型肺炎への対応を巡り、電話会議を開催と報じられ協調緩和への期待から2日のNYダウは1日の上げ幅としては過去最大となる1293.96ドル高を記録した。しかし、3日の東京市場はG7の電話会議において、「具体的な政策対応は盛り込まれない」と伝わると売り優勢となり、日経平均は朝高からマイナスに転じてこの日の安値圏で大引けた。
FRBが全会一致で主要政策金利を0.5%ポイント引き下げる緊急利下げを実施したことを受けて、3日のNYダウは一時上昇したが、新型コロナウイルスの問題解決は金融政策だけでは不十分との見方などから反落に転じた。4日の日経平均も米株安の流れを引き継ぎスタートしたものの、米大統領選の民主党候補指名争いで中道派のジョー・バイデン前副大統領が複数の州を制したと伝わると上昇に転じた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も根強く上げ幅は大引けにかけて縮小した。物色的にはNTTドコモ<9437>など通信メガキャリアの上昇が目立った。
カナダ中央銀行が予想以上となる0.5%の利下げを決定し、世界各国の中央銀行や政府が景気刺激策を導入するとの期待が先行し、4日のNYダウは上げ幅として過去2番目となる1173.45ドル高と急反発した。この米国株高を好感して5日の日経平均は続伸した。新型コロナウイルスに対する治療薬を開発すると発表した武田薬<4502>が3%高になったほか、ソニー<6758>、ファーストリテ<9983>など売買代金上位の主力株が買い戻された。ただ、新型肺炎の世界的な感染拡大を受けた経済減速懸念は根強く、買い一巡後は上値の重さも意識された。