新型コロナの感染拡大は、すでに日本経済に深刻な影響を及ぼしている。国内感染が発覚してから2か月、早くも“新型コロナ倒産”が始まっている。
東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏がこう語る。
「大企業の倒産から始まったリーマンショックと違い、今回の“コロナショック”では中小企業に倒産が広がっているのが特徴です。
1月下旬から中国からのインバウンドが消失し、旅行会社やバス会社、旅館・ホテル、おみやげ物屋、飲食店、着物のレンタル業にまで影響が出た。第二波は2月中旬からで、日本人が外出を控えるようになって消費が冷え込んだ。観光とは関係ない物販業や飲食業、イベント関連業まで影響を受けている」
新型コロナ関連による初の倒産と報じられたのが、愛知県蒲郡市の旅館「冨士見荘」だ。経営不振に陥っていた同館は、中国人ツアーの受け入れで業績を回復しつつあったが、新型コロナ禍でキャンセルが相次ぎ、2月に事業継続を断念した。
国内で突出して多くの感染者が出ている北海道では、コロッケなどの惣菜を製造し、全国的な知名度を誇った「北海道三富屋」が、新型コロナによる観光客の減少が引き金となって倒産した。また、北海道でスクールバスや観光バスを運行していた「味十商事(みとしょうじ)」は、2月末で従業員を全員解雇し、事業停止している。
西日本初の新型コロナ倒産となったのは、神戸港でレストランクルーズ船を運営していた「ルミナスクルーズ」で、3月2日に民事再生法の適用を受けた。
同社の事業再生の支援を表明したのが、神戸港でクルーズ船事業を手がける神戸クルーザーの筆頭株主、ファースト・パシフィック・キャピタルで、同社の大沼匡輔副社長は理由をこう語る。
「ルミナスの利用客は日本人が中心ですが、政府が国民に外出を控えるよう求めたことが倒産に至る引き金になった。ルミナスの倒産が神戸観光に悪影響を及ぼすことを見過ごすわけにいかないので、支援を決定しました」
しかし、厳しい船出であることは間違いない。