世界的に広がった新型コロナウイルス禍によって「世代間分断」がもたらされている。イタリアでは、60歳以上の陽性高齢者よりも陽性若者の治療を優先すると発表した。また、日本でも全国の学校が一斉休校となった反面、高齢者がアクティブに動いた結果、感染が拡大しているとの見方も出ており、子育て世代の父母からの嘆きの声も聞こえる。コロナ騒動が加速させる世代間分断の現状について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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最近会った、小学生の子を持つ女性・Aさんが漏らした嘆きの言葉が非常に印象的でした。3月6日、神奈川県横浜市で発熱等の症状があったにもかかわらずジムに5回通った70代無職男性が1406人と濃厚接触をしたというニュースを受けてのことです。彼女はこのジムの近くのエリアに住んでおり、次のように語っていました。
「近くでこうした高齢男性による迷惑行為が発生したことから、ママ友LINEグループでは怒りの気持ちが共感され、広がっています。『近いじゃないの! 私たちの子供にうつったらどうするの!』と。そして、この男性、いや、高齢者への怒りで、皆の意見は一致するようになったと感じています。一方で、一斉休校になって子供たちが公園で遊んでいるだけで『うるさい!』と高齢者が通報するという話もあるようですから、いい加減にしてほしい、と思っています」
このママ友LINEグループで書きこまれる不満は、以下の言葉に集約されています。
「子供は動きを制限されているというのに、なぜ大人と高齢者は制限されていないの? 感染者数でいえば大人の方が多いし、活発的に動いて感染を拡大させているのは高齢者なのに……」(Aさん)
確かに日々の感染者に関する報道を見ると、約700人が感染したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号から下船してジムに2回通った(しかも虚偽申告)した静岡の60代男性や、飛行機で富山まで行き、その後、富山と岐阜のバスツアーに最後まで参加した千葉の70代女性など、高齢者の行動が目立っている印象があります。
ネットを見ても「アクティブババア」「アクティブジジイ」といった言葉が登場し、「少しはじっとできないのか」「こたつでみかんでも食っとけジジババ」といった書き込みが見られます。