「ラーメン店を巡るに際し、息子には、店までの経路をスマホやパソコンを使わずに調べさせ、最寄り駅からラーメン屋に行くまでもスマホを使わずに行くように命じました。何でもスマホで調べる癖を少しでも改めさせたかったのです。また、自由研究には写真が必要です。店では『写真を撮って良いですか?』と許可を取り、店員の方とコミュニケーションを取ることをルールとして設定しました」
息子はターミナル駅の乗り換えで苦戦したり、各駅停車に乗ったためにとんでもなく時間がかかったりといったトラブルに遭遇したものの、新しい店を開拓していく姿を見て、Kさんは息子の成長を実感したという。
「14歳の息子にとっては、1人で見知らぬ街に出かけたり、飲食店に入ったりする経験は、ものすごく“大人な行為”だったようで、子供っぽい言動がにわかに減りました。背伸びをしたがる年齢ですから、自尊心がくすぐられたのかもしれません。帰宅後は、『ちょっとしょっぱかったかな』『魚介系の出汁が効いていた』など、一端の食通気取りで感想を語るのを微笑ましく聞き、親子の会話も増えました」
その後、コロナの感染拡大に伴い、息子のラーメン屋巡りはいったん休止しているというが、「コロナが収まったら、また行きたい」と語っているという。