残業代を出してくれ!
在宅勤務に転じてから、家事や育児の負担が増したという人も少なくない。共働き世帯の30代男性(自動車メーカー)がこぼす。
「小学1年生の息子は3月の頭から休校に。学童保育所が見つからなかったので、テレワークになった自分が面倒を見ることになりました。とはいえ、ウェブ会議中や客先との電話中にも『パパ~!』と抱きついてきて大変。在宅勤務とはいえフルタイムと同様の仕事量ですからなかなか終わらない。家族が寝静まった深夜まで仕事をする日々です」
この男性の場合、テレワークでの時間外手当が補償されないため、収入面にも影響が出始めているという。前出・溝上氏が指摘する。
「テレワークは始業と終業の時間管理が難しい。サービス残業をせざるを得ないケースも多く、負担が増す懸念があります。また、管理職による人事評価の基準も、働く“時間”が軸だったのに対し、『速く効率的に成果を上げる』という“成果”に変わってくるのではないでしょうか」
評価者たる管理職も、部下たちから殺到する電話やメールを処理しきれずパニックになるケースが多いというから、どちらの立場も気が抜けない。
新型コロナウイルスの影響で「働き方」に新たな選択肢が生まれたのは間違いないが、働き手の負担は減りそうにない。
※週刊ポスト2020年4月10日号