会社に行けないことが、こんなに大変だったとは──新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、一部の企業で実施されているのが、在宅や社外で働くという「テレワーク」だ。
これまでも国は「働き方改革」を旗印に「テレワーク」を推進しようとしてきたが、今回の新型コロナ対策として“ぶっつけ本番”のかたちで導入した企業も少なくない。
テレワークに必須のパソコン(PC)は、会社から貸与されることもあれば、自前のPCを使うケースもあり、企業ごとに対応はさまざまだ。だが、誰もが操作に精通しているわけではない。PCが苦手な58歳男性(不動産業)がこぼす。
「自宅からテレビ会議に参加したところ、音声が途切れ途切れになり、ついイライラして『顔を合わせないと効率が悪いぞ!』と怒鳴ってしまった。でも、あとで調べたら明らかに自分の設定ミス。若手には“老害”扱いされるし、休校で預かっていた孫も怖がって泣き出すしで、さんざんでした。オフィスで合わせる顔がありません」
こうしたトホホなエピソードがあちこちから聞こえてきた。
まず、テレワークに慣れてくると、日々の生活も怠惰になる傾向がありそうだ。スポーツメーカー勤務の20代女性が明かす。
「会社との連絡は電話とメール、文字メッセージをやりとりするチャットだけ。テレビ会議もないので化粧をしなくなりました。今となっては、一日中寝巻のスウェット姿。お菓子も食べ放題だし、テレビもつけっぱなし。いちおう就業時間通りに机には向かっていますが、ランチの時間にベッドで昼寝もしちゃう。オフィスでの通常勤務に戻る自信が無くなってきました」
自宅にはテレビもベッドもあるので“誘惑”が多い。飲料メーカー勤務の40代男性は「テレワークに慣れるにつれ、すっかりサボり癖がついてしまいました」と告白する。
「人目がないのをいいことに、暇な時はポテチを食べながら、PCで業務に無関係なスポーツニュースや動画サイトの映画を見ていました」