人生プランを見直すタイミング
「第2の人生」のプランを見直す場合、何歳から始めればいいのでしょうか。そこには3つのタイミングがあります。建築工事にたとえると50代は定年後の大まかな基本設計、60代前半は年金受給を盛り込んだ実施設計、60代後半は人生設計の修正の時期。それぞれ準備する内容やチェックするポイントが違います。
まず【50代の基本設計の時期】です。65歳までの雇用延長が義務化された現在でも、日本企業の7割以上が「60歳定年制」を採用しています。そのため、多くのサラリーマンは60歳になるとき、そのまま勤めている会社で「雇用延長」か、キャリアを生かして転職か、それとも脱サラで起業の道を選ぶかという「定年後の働き方」の大きな選択を迫られます。
50代の働き盛りの時期は、「60歳の選択」のための準備をしなければなりません。定年後、条件のいい会社への転職のためにスキルアップを図ったり、独立するなら人脈や取引先の開拓も考えたりする必要があるでしょう。
年金の面でも重要な時期です。将来に備えてイデコ(iDeCo・個人型確定拠出年金)など私的年金を積み立てるなら、収入が多い50代が最も節税効果が大きくなります。さらに厚生年金の「60歳繰り上げ」を選ぶかどうか50代のうちに判断する必要があります。50代になると両親は80代を超え、介護や老人ホームへの入居、実家の処分や相続にも備える必要があります。
次に【60代前半】は65歳からの受給に備えて老後プランを立てる時期です。
2021年4月からは雇用延長期間が現在の65歳から70歳に引き上げられる予定なので、65歳以降も「年金をもらいながら働く」か、それとも働いている期間は年金受給を我慢して繰り下げを選び、受給時に割増し年金をもらうかという「働き方」と「年金のもらい方」を決めなければなりません。
「得する年金」がもらえる世代(男性は1961年4月1日以前に生まれた人)は、65歳になる前に特別支給を受け取ることができます。
そして【60代後半】は人生設計の修正の時期となります。65歳以降も働く人は、何歳まで働くかを判断する時期です。「年金をもらいながら働いている」人なら、リタイア後は年金収入に頼ることになるため、生活のダウンサイジングを始めることが重要になります。
また、70歳が近づけば、自分たち夫婦の介護や老人ホーム入居、相続を視野に入れた資金計画の見直しも考え始める時期でしょう。別掲の「3つのタイミング」の表を見ながら、自身のライフプランを確認してみてください。
※週刊ポスト2020年5月1日号増刊『週刊ポストGOLD あなたの年金』より