校則を撤廃したことで知られる東京・世田谷区立桜丘中学校長の西郷孝彦さんは、3月末に定年退職した。新刊『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』(共著・小学館刊)も話題の西郷さんと、生徒たちの最後のふれあいの時間をリポートする。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため終了式が中止される中、1、2年生にとっては、3月25日が今年度最後の登校日となった。30分間隔の時間差登校が実施され、生徒に許された校内の滞在時間は、わずか15分。その間、3月末で学校を去る西郷さんのもとには、次々に生徒が訪れ、思い思いに感謝の言葉を述べたり、手紙や贈り物を渡していた。
その中には、本誌・女性セブンが同校初取材の日に応じてくれた生徒の姿も。1年生だった彼女らは、授業を抜け出して校長室に乱入、女子トークを存分に披露してくれたものだ。だが現在は、すっかり落ち着き、丁寧な言葉遣いで応じてくれるようになった。そのうちの1人は、いまや大所帯の部活の部長を務めている。同校の生徒の成長の早さと伸びしろには、本当に驚かされるものがある。
一方、卒業生の教室では、2月28日を最後に登校できなくなった生徒に代わり、担任の教員らが雑巾を手に、教室や廊下を大掃除していた。「あの子たちが、3年間過ごした教室ですから、どうしたっていつも以上に力が入ります」とある教員は、冷たい水で真っ赤になった手をせわしなく動かしながら、ちょっと照れくさそうに雑巾であちこちを磨いていた。
※女性セブン2020年4月16日号