体に異変や不調を感じた時、すぐにスマートフォンで医療・健康情報を調べることができる便利な時代になったが、逆に、ネットの怪しい情報に惑わされてしまう怖さもある。医療・健康情報サイトでひっかかりやすい3つのパターンを紹介する。
【ケース1】単位の置き換えに惑わされる
同じものであっても、表現方法が異なると全く違った印象を持ってしまうことがある(心理学では「フレーミング効果」と称される)。広告業界でよく使われる手法だ。
「たとえば、『タウリン1g配合』と『タウリン1000mg配合』のどちらが多いですか?と聞かれると、一瞬、後者の方が多く感じるかもしれません。ですが、冷静に考えれば含有量は同一です。
また、『この治療法は100人中、10人が失敗します』と言うよりも、『90%以上成功します』と言った方が人は安心します。こうした心理効果を利用して、判断をミスリードさせるような情報を載せているサイトが少なくないのです」(島根大学医学部臨床研究センターの大野智さん、以下同)
【ケース2】先入観によって判断を誤る
イラストをご覧いただきたい。あめとこんにゃくゼリー、どちらが窒息のリスクが高いとあなたは思うだろうか? 正解は「あめ」だ。
「1億人がその食品を口に入れたときに窒息事故が起こる頻度が公表されていますが、それによると、飴で窒息事故が起こる割合は1.0~2.7。対して、こんにゃくゼリーは0.14~0.28です(食品安全委員会データに基づく)。にもかかわらず、過去に起きた事故が大きく報道されたイメージが残っていて、こんにゃくゼリーの方がリスクが高いと思い込んでしまっているのです」
こうした思い込みによって、勝手に善悪をつけてしまうのも、間違った情報を信じ込んでしまう原因となる。