欧米と中国が分断することによって、そのほかのグローバル企業が大きな影響を受けることは免れない。日本企業は10位にトヨタ自動車、33位に三菱商事と8社が名を連ねているが、今回のコロナ禍によって、トヨタは国内5工場での一定期間の稼働停止を決めた。
『「新型コロナ恐慌」後の世界』(徳間書店)の著者で作家・経済評論家の渡邉哲也さんが指摘する。
「昨年、アメリカと中国はハイテク分野で貿易戦争を繰り広げていましたが、今後はあらゆる分野で分断が進むでしょう。かつて東西冷戦下のヨーロッパの分断を表すのに“鉄のカーテンがひかれている”といいましたが、今後は中国を中心とした社会主義諸国に“竹のカーテンが下ろされる”といわれています」
つまり、アメリカをはじめとする資本主義諸国が中国とその仲間を“村八分”にするかもしれないのだ。
「今回の新型コロナ禍で“チャイナリスク”が表面化した。これまでは人件費が安く人手を確保できるなどの理由から依存していた“メイドインチャイナ”や“チャイナマネー”“中国人労働者”などに頼らないようにしよう、というのが、“コロナ後”の世界の大きな流れになるはずです」(渡邉さん・以下同)
いまや世界中で“鎖国”が進み、輸出入もできなくなっている。実際に、安倍晋三首相は「サプライチェーン(供給網)を日本に戻す」と発言している。すると、「国―国」の連携で成り立っていた世界の経済が、「国―その国の企業や個人」でやりくりしなければならない「ブロック経済」の状態になる。すでに、中国人観光客によってもたらされたインバウンドは崩壊し、各国内の中小企業や個人経営者のなかには、路頭に迷う人々が増えている。
信用調査会社の東京商工リサーチのまとめでは、日本国内で新型コロナウイルスの影響を受けた倒産は17件(4月3日時点・以下同)、法的手続き準備中は19件の計36件が経営破たんに向かっている。特に、外国人観光客を大きな収入源としていた旅館や飲食業などが多い。