別の私立大学の教員B氏(30代男性)は、オンライン講義への対応で、担当する講義すべての内容変更、資料作成に追われていると話す。
「現時点で前期科目すべてがオンライン対応となりました。対面を想定して作成した90分授業15コマ分の内容を、すべてオンライン向けに置き換えるのはかなりの労力が必要です。映像授業の場合はどうすべきか。アクティブ・ラーニングの講義はいかにして双方向性を実現すべきか。3月まで高校生だった新入生に、突然ウェブ会議ツールを使わせることは現実的ではありません。
また在宅学習を促すためにテキストとなる書籍の購入を勧めたいのですが、アルバイトで暮らす学生にとって1冊1000円や2000円の書籍代の負担は大きい。通学を自粛させるわけですから、もちろん図書館利用も推奨できません。コロナでアルバイトができずに生活が苦しくなったという学生からの連絡もいくつか届いています」(B氏)
こうした問題に対処すべく総務省はNTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに支援を要請し、近々25歳以下のデータ通信を一部無償化する予定だと発表した。しかし、B氏は、この年齢制限にも疑問を呈する。
「25歳までに限定すると研究義務がある大学院生が排除されてしまう。研究に集中したいがゼミが開けない、研究室で集まることができない大学院生も多い。修士課程、博士課程の学生は非常勤講師などを収入源としている者も多いですが、コロナの影響で収入が見込めなくなった事例もあります」(B氏)
このようにオンライン講義導入にともなう課題は山積しているのが現状だ。大学では今後もさらなる試行錯誤が続くだろう。