大学進学率が50%を超えた今、多くの親を悩ませているのが学費問題。学費や生活費をどこまで親が出すべきかは、各家庭の教育方針に委ねられるものだが、この春、娘を大学に入れた40代男性・Sさんは、自らの甲斐性の無さを知ることになり、大いに落ちこんでいる。
Sさんは宮城県在住。同年代では結婚が早く、子供もすぐに授かったSさんは、このたび一人娘を大学に送り込んだが、学費のやりくりを検討しているうちに思い出したのが、自分が学生時代に受けていた仕送りのことだった。Sさんはいう。
「私は宮城県の高校を出た後、東京の私立大学に進み、都内のアパートで一人暮らしをしました。家賃は6万円で、仕送りは家賃込みで12万円でした。奨学金は貰っていません」(Sさん。以下「」内同)
Sさんが大学に通っていたのは、1990年代なかば。東京地区私立大学教職員組合連合が毎年発表している「私立大学新入生の家計負担調査」によれば、1994年度の毎月の仕送り平均金額が12万4900円なので、Sさんの「仕送り12万円」は平均レベルだ。ただ、Sさんは「親の投資が実ったかどうかは“微妙”」と、ため息をつく。常に優等生だったSさんだが、時代の波に翻弄されたのだ。
「せっかく大学まで進ませてもらいましたが、就職活動時は猛烈な氷河期で、不本意な就職をせざるを得ず、Uターンして転職したものの、ここ数年、年収は夫婦合わせて600万円前後です」