サラリーマンが加入する厚生年金は労使折半の保険料が会社を通じて納付されるため、個人の申請で納付猶予などの措置を受けることはできない。ただし、政府・与党は2月以降の売り上げが前年比2割以上減少している企業に対し、社会保険料や法人税、消費税の納付を1年間、延滞料なしで猶予する方針を固めた。
「中小・零細企業では猶予制度などを活用しきれていないところもある。社員の側から厚生年金保険料の納付猶予などの活用を進言することで、逼迫した経営が救われるというケースもあるのではないか」(同前)
水道料金は「4か月」
生活に必要不可欠な光熱水費なども活用できる仕組みがある。3月18日に政府・新型コロナウイルス感染症対策本部から発出された「生活不安に対応するための緊急措置」に応えるかたちで、多くの事業者が延納の制度を設けている。
電気代・ガス代は、住んでいる場所を問わず、どの事業者でも延納できるようになった。
水道料金にも延納の制度が設けられ、たとえば東京都水道局の場合、コールセンターに電話して事情を説明すれば最長4か月の延納が認められる。
電話料金やインターネット接続料も同様だ。丸山氏が解説する。
「NTT東西の固定電話や、ドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話大手3社も申請すれば延納が可能になっています」
「もらえるお金」の制度を活用し、「払わなくて済むお金」の仕組みを見逃さない―それが、自分と家族の生活を守るために、いま必要な対策だ。
※週刊ポスト2020年4月24日号