誰もがいつかは迎えることになる「葬儀」について、家族の間で考えを共有し、準備しておきたい。近年は、少額な費用での「家族葬」が増加傾向にあるが、トラブルも続出している。昨年末に父親を見送った68歳男性が嘆息する。
「“追加料金不要”と謳う30万円の家族葬を利用したら、請求書を見て驚きました。『30万円は基本料』とのことで、お清めの飲食代や控室代、車両費用などが加算され、60万円以上になっていたのです。担当者には『最後の親孝行ですから』などと丸め込まれてしまったが、納得いきません」
通夜・告別式を行なわずに火葬する「直葬」も増えているが、やはり問題が起きるケースがある。今年、母を亡くした72歳の男性が打ち明ける。
「母の遺言に従って直葬を行ない、亡父が眠る菩提寺に納骨しようとしたところ住職に説教された。『簡単でいいから葬儀はすべき』と迫られたのです」
葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子氏はこう注意を促す。
「葬儀は参列者が少なければ費用が安く済むとは限りません。『直葬』でも、葬儀後に訃報を知った人から供花や供物が送られてきたり、線香をあげたいと訪問してくれる人もいる。結果的に労力が生じてしまうことが少なくないのです」
費用を最小限に抑えつつ、誰もが納得のいく葬儀を行なうにはどうすれば良いのだろうか。
「関係者には葬儀が済んでから報告するのではなく、事前に『家族で葬儀を行ないます』と伝えておくと良い。寺院にも事後報告ではなく、火葬だけになるなら理由を伝えておくことが大切」(吉川氏)