職員は来場者の一人ひとりに声をかけ、離れた場所にある椅子に移ってもらうなど、対応に追われていた。平時であれば問題にならないことも、今は新型コロナウイルスとの“戦時”だ。不安や不満が重なり、苛立つ気持ちも分からないではない。
夫とふたりで日本料理店を切り盛りしているという70代の女性は次のように話してくれた。
「(特別融資あっせんの相談の)予約を入れたのが3月の半ばで、指定された日が今日(4月15日)よ。2週間以上待たされたってことね。そもそも予約の電話がつながらないし、大変だったわよ。
予約用の電話番号が2つあるんだけど、どちらもずっと話し中で、やっとつながったかと思ったら『少々お待ち下さい』って言われて、そこから5分くらい待たされた挙げ句に、結局プツンって切れちゃった。頭にきたから、知り合いに教えてもらった区役所の偉いさんの番号に直接かけて文句言っちゃったわ」
ここまでの道のりは険しかったようだが、融資については500万円の満額が決定しそうだと、少しほっとした顔を見せた。
一方、ITサービス業の男性(40代)は「港区の融資あっせんは500万円の満額が決まったけど、その通り支払われるかどうかはまだわからない」と眉間にシワを寄せる。
「区の特別融資はあくまでも『あっせん』であって、金融機関がそのまま受け入れるかどうかはわからないそうなんです。これから東京都の信用保証協会の審査を経なければならない。この期に及んでまだハードルがあるんですよ」
このような不安の声は区にも寄せられている。区役所の関係者は次のようにいう。